見方を変えることで、目の前に今までとまったく違った世界が訪れることがある。「普通」と思われているものが必ずしもそうとはかぎらず、「狂気」と思えるものが実は誰にもある感覚であったりもする。現代という多様で果てしのない海を泳ぎ続ける為には、両極を意識するバランス感覚を保つ努力が必要なのかもしれない。希望の有りどころは、見えない未来にではなく足元にあること、幻想ではなく現実にあることを意識して作品を作りたいと思っている。
今回は木彫を主な表現形態とし、今までと同様、布、画像、文章、版画、自然物など、多様な表現と組み合わせて展示する。作品は物でありながら物ではなく、様々な体験や記憶が一個の人間を形成するように、一見単純でありながら実は複雑に出来ている。日々私達をとりまく様々な事象を観察し、発見、そして形象化することにより、作品を観た人々の心の奥にある感受性のスイッチに触れられればと考える。 |
略歴
2010
